Pekanbaruの思い出 3 この街、最古のモスク [Indonesia]
引き続きプカンバル。
地図に白丸があっただけの大都市。でも、高いところから見回しても、目ぼしいスポットはなさそうだ。
プカンバルで最古と言われるモスクへ行くことにした。
タクシーで、モスクの名前を告げたら、なんなく到着した。
おっと、改修工事中だ。
これは大掛かりな工事だ。建て直すのだろうか。
古い部分が残っていれば、ラッキーだが。。。
工事中は中に入れないだろうか。側面の方に回り込む。
足洗い場だ。日本の神社でもお清め場があるが、イスラムバージョンか。
タイルはもう貼り直したのか、キレイだけど、まだ蛇口がついていない。
側面の入り口は開いていた。
写真に小さく写っている白装束のおじいさんと、その隣に黒装束のおじさんがいる。
この二人が中に入るのに関門となるのだった。
この写真を撮った後、少しずつ入り口に近づいていった。
できれば彼らとは言葉を交わさずに入りたい。
天井を見たり、建物をマジマジと見ながら、入り口に近づいていく。
彼らもこちらのことには気に留めずに談笑しているようだ。
そうやって、少しずつ入り口に近づいていく。彼らも立ったり座ったり、歩きながら談笑する。しかし、どうしても正面突破できる隙がない。
そして、天井を見上げて、顔を下げた時、白装束のおじいさんが、目の前に立っていた。
「宗教は何だ?」と聞いてきた。
世間話の切り出しは、「何してるの?」とか、「どこから来たの?」「何人?」の筈だが、宗教から聞かれるとはと、舌を巻く。
インドネシアでは身分証明書に宗教が記載されるほど、信仰する宗教は重要なアイデンティティだ。無宗教でいること、信仰心がないことは悪とされる。日本人としては、神道か仏教かで答えることになる。
白装束の爺さんはこのモスクの主かもしれない。仏教と答えたら、追い返されるかもしれない。だが、神道というのは、外国人に説明するのが面倒だ。しかも、インドネシア語しか通じないし、見るからに分からず屋そうなジイさんだし。こちらのインドネシア語のレベルといえば、中一の英語ぐらいだ。
困った顔をしていると、「宗教には入っているだろう?イスラム教か?」いっそのことなりすますかと一瞬よぎるが、すぐに「キリスト教か?仏教か?いずれにしても、どの宗教にしても、教えはしっかりしている。宗教には入ったほうが良いぞ。」と続けてくる。じゃあ、仏教にしとくか。でも、もう聞いてこないみたいだ。
しかし、ジイさんの話しは続く。「本当にどこも入ってないのか?私が知らないような宗教もあると思うけど、どれでも良いんだぞ?」と訝しげな表情になる。じゃあ、「仏教」と答える。「あー、そーか」と満面の笑みが帰ってきたので、ホッとしたのもつかの間。
「イスラム教はどうだ?イスラム教に入らないか?イスラム教は良いぞ?」と来た。え、良いかもしれないけど、どういうこと?という表情を読まれたらしい。
「毎週末にたくさんの人が集まる。イスラム教に入らないか、ということだよ。」と説明も来た。
そりゃないでしょ。「私は仏教です」
「いや、仏教は良い宗教だと思う。しかし、イスラム教も良い宗教だよ。天を見ろ。この素晴らしい青空、そして家族。あなたにも、両親がいるでしょう?世の中の全ては神様が幸せに導いてくれているんだよ。ありがたいでしょう?ありがたいから感謝する。そういう温かい宗教なんじゃよ」自分のインドネシア語理解力は中一英語レベルなので、彼の言葉の真偽は怪しいが、そんなことを言われた気がした。
「感謝したくなった?おーそうだ、良い言葉をあげよう。感謝したくなったら唱える言葉だ。ありがたいだろう?」
「うーん」と薄い反応で粘っていると、「その言葉を覚えたいでしょう?」と、相手もしぶとい。ここは頷いておこう。これ聞いたら解放してくれるのかなぁ。
すると、ジイさんが声高らかに歌う「イラッハラハッラハー◯※△●・・・」
すご〜い、こんな抑揚のついたコーランの一節を目の前で聴けるなんて、僕のために聞かせてくれるなんて。と感動したぁ。
と感激のお礼を言うより早く、
「はい、今度は君の番。今のやってみて」
は?そんなの無理でしょ。早くインドネシア語を上達して、ツッコミ方を習得したいところだ。
ツッコミもできず、まごついていると、再びジイさんが唱える。
「イラッハラハッラハー◯※△●・・・」
そういえば、コーランは翻訳してはいけないから、インドネシア人もアラビア文字のまま覚えるんだっけ?
マジかぁ、すぐそこにあるモスクの入り口がとても遠く思えてきた。今日は無理かも。。。出直しかな。いつ来よう。と頭の中は撤退モードだ。
「俺の発音が悪いのかなぁ。アイツの方がうまい」と黒装束のおじさんを呼び寄せる。
「なんだい」と黒装束は満面の笑みでやって来た。「あの一節をやってくれ。」という。
「おーいいとも。これは、礼拝の時に必ず最初にみんなで唱和する一節だ。覚えた方がいい。」ウワ無理だぁ。
「こいつは礼拝の時に、いつも前で唱えているんだ。」黒装束を指差してジイさんが紹介すると、彼の一節が始まる。
確かにうまい。しかし、この先の見えない拘束状態に、お世辞の一つも言える心境ではない。
すると黒装束が言う「これ全部はさすがに長いかもしれない。前半でも十分だよ。」
「そうじゃな。前半だけにしよう。」
あの〜、一言すら無理だって。さっきは言葉を発しなくても、表情から色々読んでくれたのに、どうしてここでは分かってくれないんだろう。
「そうか、じゃあ、書いてみるか。」とジイさん。
「いやぁ、字も知らないのに書いても意味なくないか。」と黒装束。
「アルファベットで書くんじゃよ。」
「いや、それは、してはいけないんでは」と黒装束がうろたえる。コーランはアルファベットで書いてはいけない。
「この際、しょうがないじゃろ。俺は良いと思う。ペン持ってるか。」とこちらを向く。持ってるんだけど、迷わず首は横に振る。
黒装束がペンと紙を持って来る。
「自分で書け、それなら自由だろう。じゃあ行くぞ」と再び唱え始める。
日本人なんだからカタカナで書こうとするが、カタカナで表記できるような音ではない。カタカナは万能だと思っていたけど、無理な音もあるんだ。と悩んでいると。
「書けたか?」と覗き込む。
「書けてないじゃないか。じゃあ、もう一度。アルファベットで書け。」
とゆっくり、唱え始める。
一行を書き終えるにも、少しづつだ。ようやく白装束も飽きてきたらしい。
「何しに来たのだ?」
「建物の中が見たい。」と答えると、
「そうか。入って良い。いま、改修中だけどな。中の方にある柱は最初に建物ができた時の柱だ。その外側にある柱は、後世に新しく建てられた柱じゃ。」
へぇ、貴重なことを聞いたかも。
早速中に入る。
この写真の手前にそびえているのが古い柱だ。
古い柱は4本、正方形の位置に配置されている。
その上に球形のドームが乗せられていたのだろう。
現在の球形の直径と比べると半分ぐらいの直径だったのだろうか。
もしかしたら、ドーム部は木造だったり、球形ではなかったかもしれない。
天井やバルコニーの小口の装飾も精巧だ。
バルコニーに上がってみる。
バルコニーから眺めてみる。信者はここから礼拝することもあるのだろうか。
ドームとの境目の小口にも模様が施されている。
2階の天井も模様が施されている。
一通り見て、後にする。
本当に高い建物はないのだろうか。近くのモールに行ってみよう。
モールは3階建だった。
向かい側にホテルが見えるが、宿泊するわけではないので、入れないだろう。
そのホテルが10階建ぐらいだろうか。とても高くそびえている。
ホテルより高いビルはあるかな?とぐるりと見回す。
先に行った図書館が見える。図書館の近くに高層マンションを建設中のようだ。
地図に白丸があっただけの大都市。でも、高いところから見回しても、目ぼしいスポットはなさそうだ。
プカンバルで最古と言われるモスクへ行くことにした。
タクシーで、モスクの名前を告げたら、なんなく到着した。
おっと、改修工事中だ。
これは大掛かりな工事だ。建て直すのだろうか。
古い部分が残っていれば、ラッキーだが。。。
工事中は中に入れないだろうか。側面の方に回り込む。
足洗い場だ。日本の神社でもお清め場があるが、イスラムバージョンか。
タイルはもう貼り直したのか、キレイだけど、まだ蛇口がついていない。
側面の入り口は開いていた。
写真に小さく写っている白装束のおじいさんと、その隣に黒装束のおじさんがいる。
この二人が中に入るのに関門となるのだった。
この写真を撮った後、少しずつ入り口に近づいていった。
できれば彼らとは言葉を交わさずに入りたい。
天井を見たり、建物をマジマジと見ながら、入り口に近づいていく。
彼らもこちらのことには気に留めずに談笑しているようだ。
そうやって、少しずつ入り口に近づいていく。彼らも立ったり座ったり、歩きながら談笑する。しかし、どうしても正面突破できる隙がない。
そして、天井を見上げて、顔を下げた時、白装束のおじいさんが、目の前に立っていた。
「宗教は何だ?」と聞いてきた。
世間話の切り出しは、「何してるの?」とか、「どこから来たの?」「何人?」の筈だが、宗教から聞かれるとはと、舌を巻く。
インドネシアでは身分証明書に宗教が記載されるほど、信仰する宗教は重要なアイデンティティだ。無宗教でいること、信仰心がないことは悪とされる。日本人としては、神道か仏教かで答えることになる。
白装束の爺さんはこのモスクの主かもしれない。仏教と答えたら、追い返されるかもしれない。だが、神道というのは、外国人に説明するのが面倒だ。しかも、インドネシア語しか通じないし、見るからに分からず屋そうなジイさんだし。こちらのインドネシア語のレベルといえば、中一の英語ぐらいだ。
困った顔をしていると、「宗教には入っているだろう?イスラム教か?」いっそのことなりすますかと一瞬よぎるが、すぐに「キリスト教か?仏教か?いずれにしても、どの宗教にしても、教えはしっかりしている。宗教には入ったほうが良いぞ。」と続けてくる。じゃあ、仏教にしとくか。でも、もう聞いてこないみたいだ。
しかし、ジイさんの話しは続く。「本当にどこも入ってないのか?私が知らないような宗教もあると思うけど、どれでも良いんだぞ?」と訝しげな表情になる。じゃあ、「仏教」と答える。「あー、そーか」と満面の笑みが帰ってきたので、ホッとしたのもつかの間。
「イスラム教はどうだ?イスラム教に入らないか?イスラム教は良いぞ?」と来た。え、良いかもしれないけど、どういうこと?という表情を読まれたらしい。
「毎週末にたくさんの人が集まる。イスラム教に入らないか、ということだよ。」と説明も来た。
そりゃないでしょ。「私は仏教です」
「いや、仏教は良い宗教だと思う。しかし、イスラム教も良い宗教だよ。天を見ろ。この素晴らしい青空、そして家族。あなたにも、両親がいるでしょう?世の中の全ては神様が幸せに導いてくれているんだよ。ありがたいでしょう?ありがたいから感謝する。そういう温かい宗教なんじゃよ」自分のインドネシア語理解力は中一英語レベルなので、彼の言葉の真偽は怪しいが、そんなことを言われた気がした。
「感謝したくなった?おーそうだ、良い言葉をあげよう。感謝したくなったら唱える言葉だ。ありがたいだろう?」
「うーん」と薄い反応で粘っていると、「その言葉を覚えたいでしょう?」と、相手もしぶとい。ここは頷いておこう。これ聞いたら解放してくれるのかなぁ。
すると、ジイさんが声高らかに歌う「イラッハラハッラハー◯※△●・・・」
すご〜い、こんな抑揚のついたコーランの一節を目の前で聴けるなんて、僕のために聞かせてくれるなんて。と感動したぁ。
と感激のお礼を言うより早く、
「はい、今度は君の番。今のやってみて」
は?そんなの無理でしょ。早くインドネシア語を上達して、ツッコミ方を習得したいところだ。
ツッコミもできず、まごついていると、再びジイさんが唱える。
「イラッハラハッラハー◯※△●・・・」
そういえば、コーランは翻訳してはいけないから、インドネシア人もアラビア文字のまま覚えるんだっけ?
マジかぁ、すぐそこにあるモスクの入り口がとても遠く思えてきた。今日は無理かも。。。出直しかな。いつ来よう。と頭の中は撤退モードだ。
「俺の発音が悪いのかなぁ。アイツの方がうまい」と黒装束のおじさんを呼び寄せる。
「なんだい」と黒装束は満面の笑みでやって来た。「あの一節をやってくれ。」という。
「おーいいとも。これは、礼拝の時に必ず最初にみんなで唱和する一節だ。覚えた方がいい。」ウワ無理だぁ。
「こいつは礼拝の時に、いつも前で唱えているんだ。」黒装束を指差してジイさんが紹介すると、彼の一節が始まる。
確かにうまい。しかし、この先の見えない拘束状態に、お世辞の一つも言える心境ではない。
すると黒装束が言う「これ全部はさすがに長いかもしれない。前半でも十分だよ。」
「そうじゃな。前半だけにしよう。」
あの〜、一言すら無理だって。さっきは言葉を発しなくても、表情から色々読んでくれたのに、どうしてここでは分かってくれないんだろう。
「そうか、じゃあ、書いてみるか。」とジイさん。
「いやぁ、字も知らないのに書いても意味なくないか。」と黒装束。
「アルファベットで書くんじゃよ。」
「いや、それは、してはいけないんでは」と黒装束がうろたえる。コーランはアルファベットで書いてはいけない。
「この際、しょうがないじゃろ。俺は良いと思う。ペン持ってるか。」とこちらを向く。持ってるんだけど、迷わず首は横に振る。
黒装束がペンと紙を持って来る。
「自分で書け、それなら自由だろう。じゃあ行くぞ」と再び唱え始める。
日本人なんだからカタカナで書こうとするが、カタカナで表記できるような音ではない。カタカナは万能だと思っていたけど、無理な音もあるんだ。と悩んでいると。
「書けたか?」と覗き込む。
「書けてないじゃないか。じゃあ、もう一度。アルファベットで書け。」
とゆっくり、唱え始める。
一行を書き終えるにも、少しづつだ。ようやく白装束も飽きてきたらしい。
「何しに来たのだ?」
「建物の中が見たい。」と答えると、
「そうか。入って良い。いま、改修中だけどな。中の方にある柱は最初に建物ができた時の柱だ。その外側にある柱は、後世に新しく建てられた柱じゃ。」
へぇ、貴重なことを聞いたかも。
早速中に入る。
この写真の手前にそびえているのが古い柱だ。
古い柱は4本、正方形の位置に配置されている。
その上に球形のドームが乗せられていたのだろう。
現在の球形の直径と比べると半分ぐらいの直径だったのだろうか。
もしかしたら、ドーム部は木造だったり、球形ではなかったかもしれない。
天井やバルコニーの小口の装飾も精巧だ。
バルコニーに上がってみる。
バルコニーから眺めてみる。信者はここから礼拝することもあるのだろうか。
ドームとの境目の小口にも模様が施されている。
2階の天井も模様が施されている。
一通り見て、後にする。
本当に高い建物はないのだろうか。近くのモールに行ってみよう。
モールは3階建だった。
向かい側にホテルが見えるが、宿泊するわけではないので、入れないだろう。
そのホテルが10階建ぐらいだろうか。とても高くそびえている。
ホテルより高いビルはあるかな?とぐるりと見回す。
先に行った図書館が見える。図書館の近くに高層マンションを建設中のようだ。
写真がとても良く撮れていますね。
面白い経験ができましたね。marumaru218 さん楽しんでますね。
by スカーレット (2019-10-10 23:05)
スカーレット様
コメントありがとうございます。
この日にも思ってたのですが、「天気が良いのがせめてもの救いだ」というくらい、ガッカリ体験でした。
最後まで、歓待されたわけではなかったので。
by marumaru218 (2019-10-12 17:03)
えーーー、そうなんですか?だって、日本ではこんなに大きなモスク、絶対見られませんよ!
でも、写真だけ見てると、すごいな〜と思うけど、きっと、やっぱり、大変だったんですね。
by スカーレット (2019-10-14 19:14)
スカーレット様
白装束や黒装束の牧師と同じ目線で話すのはロールプレイングゲームぐらいでしか経験がなかったので、この人たちは怪物だろうか、と緊張してたのです。
by marumaru218 (2019-10-15 18:01)